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築地地区のまちづくり(その4)
−防潮壁を修景しよう−

1.夢塾21(part4)のとりくみ

 名古屋市港区築地地区では、地元のまちづくり組織である夢塾21が稲荷公園の再整備の計画づくりをワークショップ方式で取り組んで以降、住民のまちづくりに対する活動がさらに活発化してきている。
夢塾21では、地区内にある旧防潮壁を有効に活用しようということで2年間かけてその修景計画づくりにとりくみ、提言書をとりまとめたが、さらに2001年度よりそれを実践に移す活動に取り組んでいる。修景計画ではいくつかのゾーンにわけ、様々な提案を行ったが、それを具体化するため、6つの計画ごとに担当を定め、2つずつが1つのグループとなり、それぞれのグループワークをすすめる中で少しずつ形になってきている。グループは以下のとおりである。
 銘板・緑化チーム
銘板:防潮壁の歴史や修景の取組みを記載する銘板について検討。通りの愛称募集も担当。
緑化:東ゾーンを中心に行う緑化について樹種や方法、さらに将来の維持管理について検討。
トリックアート・写真展示チーム
トリックアート:取り壊しが難しいことから、そのイメージをトリックアートで描くとともに、
新しい名所となるようなものを計画。
写真展示:港の昔の風景やくらしの様子の写真をギャラリー風に展示。写真集めやその選定についても検討。
子供達の絵・アーティストとの協働チーム
子供達の絵:西築地小学校の子供達に絵を描いてもらい、2年ごとに新しく描くことを計画。
アーティストとの協働:アートポートなど港に関わるアーティストの協力を得ながら、
協働で作り上げるアートについて検討。

2.子供達の絵

 3月には、西築地小学校の5・6年生による絵が完成した。汚れていた防潮壁が管理組合と名古屋市の手によってきれいになり、そこに地元出身のアーティストの卵に祭りの絵の下絵(1.5m×3mのものを2ヶ所)を描いてもらい、その下絵に子供達がまちの人を書き込むという形で、多くの人々の協力によって楽しい絵ができあがった。当初は、2年ごとに描き直すことを想定していたが、立派な完成具合に「2年で書き直すのはおしい、2年後は別の場所に描いては」という意見もでている。


下絵(東側)
西築地小学校出身のアーティストの卵に描いてもらった下地。

下絵(西側)
 当初は簡単なものを考えていたが、かなり書き込まれた立派なものに。

子供達による絵(2002..2.26)

祭りをテーマに学区の人達の絵を描く。このテーマも子供達との話し合いにより決定された。

子供達による絵(2002..2.26)

 自分の姿を描く子供達が多かったが、中には夢塾のメンバーとわかる絵も。

完成した絵(東側)

完成した絵(西側)

3.トリックアート

 4月からは緑区に住むトリックアートを専門とする芸術家の方に港にちなんだトリックアートを描いていただいている。夢塾21の活動に賛同していただき、会議にも出席してもらい、メンバーの意見も取り入れてもらっている。梅雨に入る前の完成をめざしており、名古屋港の新しいスポットになるのではと期待している。

4.写真展示

 また、名古屋港の昔の風景写真を展示しようと計画しており、その写真を集めるため、4月7日に開催された地域イベントである桜まつりにおいて、これまで集めた写真の展示を行うとともに、持ってきていただいた写真をスキャナーで読みとる作業も行った。雨天のため、展示は途中で打ち切らざるを得なかったが、新聞記事をみて北区から持ってきていただいた方もみえた。

5.その他

 このほか、「通りの愛称を募集しよう」、「銘板を設置しよう」、「アーティストとの協働で修景しよう」などの計画がある。問題は、そのための資金をどうやって確保するかである。行政の計画に基づくものではないため、行政の資金はあまり期待できない。地元企業にもお願いしながら資金集めをしようとしている。計画づくりから実際の修景までを地元主体でやろうという新しい試みに大いに期待したい。

なお、この夢塾21の取組みは、第2回中部未来創造大賞特別賞を受賞した。公共空間の活用を提案し、具体的な活用にむけて動いているということで国土マネジメント部門での受賞だった。
→受賞一覧
http://www.cbr.mlit.go.jp/mirai/02/menu.htm
→稲荷公園の再整備と旧防潮壁の修景にむけたとりくみ
http://www.cbr.mlit.go.jp/mirai/02/inari.htm

夢塾21の活動に関わって6年目になるが、関心するのは地元に多才な人材があり、それぞれが重要な役割を担いながらまちづくりを推進しているところである。これからの展開が楽しみである。


(2002.4.8/石田富男)