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築地地区のまちづくり(その2)−稲荷公園の再整備−

1.夢塾21(part2)のとりく−稲荷公園づくりワークショップ

 当初1年間の活動として発足した夢塾21であったが、この取り組みを通じて、住民のまちづくりに対する関心がさらに高まり、1997(H9)年度においては、具体的なまちづくりの取り組みの第一弾として、稲荷公園の再整備の計画づくりをワークショップによって進めることとなった。このワークショップのお手伝いをするために、スペーシアがかかわることとなった。

 ちょうど、築地地区が福祉のまちづくりモデル地区に指定された時であり、モデル地区整備計画においてもバリアフリー型公園の整備があげられていた。計画づくりにあたっては多くの人々の意見を取り入れるため、子どもからお年寄りまでが参加するワークショップを4回開催するとともに、住民の方々に対するアンケート調査も実施した
 第1回目のワークショップでは現地をみんなでチェックし、現在の公園のよいところ、悪いところ探しを行った。また、小学校の協力を得て、子ども達に「こんな稲荷公園がほしい」という絵を書いてもらい、第2回目のワーショップではそのコンクールを行うとともに、その絵をみながら、公園の目標づくりにとりくんだ。
 第3回目のワークショップでは公園の模型づくりにとりくみ、第4回目のワークショップでは、現地に遊戯やトイレの位置を示し、その位置や大きさの確認を行った。最終的には、みんなの意見を総合する形で夢塾21で「広場は海、丘は船が停泊する岸壁、ふれあいの中から新たなドラマを生み出そう」をコンセプトに、ニックネームを「ゆめランド」とする計画をとりまとめた。

 このようなとりくみを行う中で、当初は近所の人が設置に反対していたトイレについても、子供達の要望が高いことから設置することになった。また、これまであまり意識されていなかった稲荷公園がみんなの公園であるという意識が高まり、公園の維持管理についても住民が主体となって行っていこうということで話しが進んでいる。


第1回ワークショップ(1997.10.18)
 公園ウォッチングで現在の公園のよいところ、悪いところをチェック。車いすに乗ってみると、入り口の段差などに問題のあることがわかった。

第1回ワークショップ(1997.10.18)

 公園の図面にポストイットを貼りながら、よいところ、悪いところをみんなで意見交換。現在の公園のよいところは残していく方向で考えることに。

第2回ワークショップ(1997.11.29)

 子ども達が描いてくれた「こんな公園だったらいいな」の絵をみんなで投票。子ども達の公園に対する夢が伝わってくる。

第2回ワークショップ(1997.11.29)

 公園づくりの目標とそれを具体化するためのアイデアについてグループで意見交換。様々ななアイデアがだされた

第3回ワークショップ(1998.1.24)
 簡単な模型による公園づくりのデザインゲーム。アイデアが形になってくる。

第3回ワークショップ(1998.1.24)
グループの考えを発表。いろいろなアイデアが飛び出す。最後は旗上げアンケートでどのアイデアがよいかの投票を行った。

第4回ワークショップ(1998.3.14)
 公園計画案を現地で、位置や大きさがふさわしいかどか確認。ここで野球をやるとどうなるだろう?

第4回ワークショップ(1998.3.14)
 公園の模型を前に計画案の修正すべきところを意見交換。公園のニックネームについても考えた。

2.学校との連携による遊具選びワークショップ

 1998年度に地元提案をベースに実施設計が行われたが、公園に設置する遊具を子ども達自身の手で選んでもらう「遊具選びワークショップ」(1999.2.19)が行われた。このワークショップは創意の中の児童会活動として行われ、全校児童279名が参加した。


 公園のシンボルとなる船の遊具の大きさを体験。
段ボールで自由に形をつくりあげた。

1〜6年生までの縦割りのグループで
どんな遊具が欲しいかを選んだ。

3.施工段階でのワークショップ−絵タイルづくりワークショップ

 さらに、1999年度の工事期間中には、「絵タイルづくりワークショップ」(2000.1.30)にとりくんだ。約400名が参加し、300枚以上もの絵タイルを作成し、公園の通路やコンクリートウォールなどにとりつけられた。このワークショップの際には、地元住民の手でジャンボいなりと豚汁がふるまわれたが、ゴミを出さないという配慮から、お椀と箸をみんなで持ち寄ることも行われた。この取り組みに、ゴミ問題に頭を悩ます名古屋市長が感激し、いろいろなところで紹介されているという。


現地に400人もの人が集まり、ブルーシートの
上で絵タイルづくりに挑戦。



小さな子どももお母さんと一緒に参加した。

 30cm四方の箱の中に作られた絵タイルはそれを固定するために紙を貼り付ける。
後は工事の人が現地に貼り付ける作業をしてくれる。



 絵タイルづくりの後は築地名物、ジャンボいなりと豚汁で腹ごしらえ。
ゴミを出さないためにお椀とお箸は家から持参した。

4.オープングイベント

 予算の関係で工事が2年度にまたがってしまったため、すべてが完成したのは2001(H13)年の3月。地元で盛大に行うはずだったオープニングイベントは雨のため、かなり規模が縮小されてしまったが、それでも多くの人々が集まった。
<オープニングイベントの様子はここ>

多くの関係者の思い入れで、小さいながらもいろんな思いがつまった公園となった。以前は、周辺の人達にしか利用されていなかった公園だが、自分たちで選んだ遊具を楽しむために多くの子ども達が毎日のように集まっている。
公園愛護会も学区全体の人で新たに再編され、事業部活動や広報活動なども始まっている。ここを舞台としたイベントも企画されている。学区の公園として愛され、活用されることを望みたい。


(2000.6.15初稿、2001.7.10追加修正/石田富男)