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アイデア公園
 名古屋市では、昭和62年度から「みんなのアイデア公園」づくりを進めており、地域住民に計画・建設段階から参加してもらい、地域のニーズに合わせた個性的で質の高い「特色ある公園づくり」をめざしている。これまでに17の公園が完成しているが、その中から市の担当者も推薦する5つの公園を紹介する。

●江西公園(西区)

 名古屋の玄関口である名古屋駅の北1kmに位置する。戦災復興の区画整理によって整備された公園で、L型の形状をしており、面積は2,900u。平成6年度事業としてリニューアルが行われた。 

 アイデア公園では、市民が公園整備にかかわる方法の1つとして絵タイルを子供たちが作成し、それを貼り付けているところが多い。ここでも公園名の看板やベンチにもなるコンクリートウォールに貼り付けているが、特筆すべきは公園名を貼り付けている台としてリニューアルの際に切り倒した木を用いていることである。また、その木は掲ヲ板としても利用されている。この公園の樹木は大きく成長したものが多く、市街地で成長した樹木が有効に活用された例といえるだろう。

 また、ここでは子供たちのボール遊びに積極的に対応しようとしているところに特色がある。遊具をサッカーゴールに見立て、ミニサッカーができたり、バスケットボールもやれる。遊具も複合遊具やブランコという一般的なもののみならず、谷川渡りもある。おいっきり体を動かしながら遊べるところが子供の人気の的となっているようだ。


●東志賀公園(北区)

 名古屋市北部の内陸工業地として発展した北区にある。高度成長期に大規模な工場跡地が住宅団地となったところが多く、公団住宅や公営住宅の多いところであるが、この公園も大規模な公団住宅の中の公園であり、面積は5,800uと街区公園としては規模が大きい。周囲の公団住宅では建て替えが進められており、平成6年度事業としてリニューアルが行われた。3方が道路に面するが、うち2方はコミュニティ道路として整備されている。

 この公園は規模が大きいものの、広場としては大きな空間をとっていないこともあり、様々な遊具が整備されている。小さな子供たちの遊ぶ遊具からターザンロープ(谷川渡り)など大きな子供を対象としたもの、上体おこしなど運動のための施設、プレイマウントなど。樹木も豊かであり、樹木の中に遊具が配置されている感じである。

 少し高くなった部分にパーゴラを配置しているが、その柱に絵タイル貼っており、それが公園の特色となっている。また、絵タイルはコンクリート舗装やテーブルにも貼られている。トイレにも、子どもたちの絵をタイルにして貼っており、敬遠されがちなトイレを楽しいものとしている。


●花町公園(熱田区)

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 名古屋の副都心として整備の進んでいる金山駅から南500mに位置する。3方を道路に囲まれ、もう1方は小学校に隣接している。区画整理によって整備された公園で、南北に細長い形状をしており、面積は2,200u。平成7年度幕ニとしてリニューアルが行われた。

 ここでも絵タイルが公園名の看板やベンチにもなるコンクリートウォール、コンクリートの舗装部分に貼り付けている他、時計の台座部分にも貼り付けており、それが公園の特色となっている。道路との境界部分の柵にも子供たちが希望する公園の絵をタイルにして貼り付けている。また、ブランコには子供たちのアイデアで飾りがつけられている。普通のブランコであるが、ちょっとした工夫で楽しくなってくる。

 ただ、残念だと思うことは、小学校に接していながら、小学校から直接アプローチできないこと。名古屋市では学校公園として一体的利用をしているところもあるが、小学校のところに入り口をつけるだけでも、利用の幅が広がるのではないかと感じた。


●台町ふれあい公園(昭和区)

 名古屋市の古くからの住宅地である昭和区にあり、地下鉄御器所駅から南200mに位置する。昭和区は耕地整理によって基盤が整備されたところであり、鶴舞公園などの大きな公園はあったが、街区公園はほとんどなかった。ここも小学校区に1つも公園のない学区の1つで、街区公園の適正配置の促進として公園整備が検討されていたところである。

 子どもを遊ばせる場がほしいという1人の主婦の願いが「昭和区民の憩いの場、遊び場をつくる会」の結成につながり、平成6年度幕ニとして整備されたものである。3方を宅地に囲まれた900uの小さな公園であるが、建設省の手づくり郷土賞、愛知県の人にやさしいまちづくり賞を受賞しており、地域住民に愛着をもって利用されている。

 近くに障害者自立の家などが立地することから、小さな街区公園では通常設置できない車いすでも利用できるトイレが設置されている。中には子供たちの絵タイルが貼られている。また、トイレの壁を掲ヲ板として利用しており、敬遠されがちなトイレを積極的に活用している。

 「ふれあいくん」という愛称で親しまれている水遊び場があり、ペダルを押した時だけ水がでるという。ただし、冬場は水を止めているようだ。公園の器具庫やベンチ、車止めなども一般的なタイプのものではなく、デザインに配慮されている。クリスマスが近いことから、器具庫の隣の木に飾り付けをしていたことが、より楽しさを増しているようだ。


●北山本町公園(昭和区)

 台町ふれあい公園と同じ昭和区にあり、同じく公園のない学区における街区公園の適正配置の促進として、平成8年度に整備された物である。この公園も主婦が中心になって整備したものであり、台町ふれあい公園整備の経験がこの公園整備に多いに生かされている。2方が宅地に面した1,000u弱の公園で、整備にあたっては周辺住民の反対があったようだが、それを地域住民が中心になって実現にこぎつけた。ただし、残念ながら、トイレは反対があって設置できなかったという。

 ここでは、整備にあたって子供たちに絵を書いてもらいその中にあった「山」をキーワードとして、芝生の生えた小山を設けており、それが公園の特色となっている。ここがすべり台ともなり、イベントの時には舞台にもなるという。このようなものは志賀公園にもあったが、大きな公園の中のものと、北山本町公園のような小さな公園の中のものでは意味あいが異なるようだ。芝山をボール遊びゾーン(バスケットのゴールがある)と小さな子供たちが遊ぶゾーンの境界としてもうまく利用している。

 ここでも絵タイルが貼られているが、その数は350枚にも達している。砂場には犬よけのネットが張られており、最後に利用した人がネットをかけるというルールが徹底されているという。器具庫には本箱が設けられており、地域住民が持ち寄った本を自由に読むことができる。普通のベンチでは高齢者の会話に向いていないということから縁台を設けたり、地域住民による手づくり花壇も設けられている。公園愛護会に人が集まらないなど苦労も多いらしいが、様々な工夫がこらされた魅力的な公園となっている。

(1997.12.10/石田 富男)