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「YOSAKOIソーラン祭り」街づくりNPOの経営学
/坪井 善明・長谷川 岳 著

岩波アクティブ新書/2002年6月発行

 本書は、4年ほど前に発行されたものだが最近ある機会がもとで手にした。それは、今年9月に春日井市勝川地区で開催された「全国リサイクル商店街サミット春日井大会」で、著者でもある長谷川岳氏が招かれYOSAKOIソーラン祭り(以下、祭り)を通してみた街づくりと商店街をテーマにした基調講演が行われ、祭りの運営と商店街の活性化には共通したところが多いという話であった。長谷川氏は春日井市の出身で、北海道の大学に在学中に学生主体の学生実行委員会を組織し祭りを企画、1992年に第1回目を開催させ、今では国内はもとより海外からも踊り手が参加し、200億円以上の経済効果をもたらす北海道を代表する一大イベントにまで成長させた。

 本書では、長谷川氏が祭りを始めるきっかけから、運営組織となる学生実行委員会の立ち上げ、第1回開催への険しい道のり、祭りの規模が拡大していく過程とそこから生じた多くの問題などが時間経過とともに記されている。特に、組織運営、経営学、協賛企業との交渉、メンバーの留年といった問題を通して、学生主体の組織で運営し継続し続けることの難しさも経験してきた。しかし、そんな中でも、今年で15回を数えるに至った背景には、祭りの実現を目標に掲げた学生達の熱意と行動力によるところが大きい。またこの祭りは、イベントの枠を超えて地域のコミュニティ形成と活性化にも結びついている。名古屋の"ど祭り"のように、祭りの参加者が北海道での祭りに感動し自分達の街を舞台に新たな祭りを興し、地域の活性化に繋げるという広がりをみせている。偶然にも今年6月社員旅行で北海道へ行った際、本家でもある祭りを間近でみることができた。札幌の街は、ユニークで色鮮やかな衣装に身を包んだ参加者と多くの観光客が行き交い、「晴れの舞台」となっていたのを思い出す。本書を読んでから祭りをみると、また違った楽しみ方ができたのかもしれない。

 現在では、NPO法人YOSAKOIソーラン祭り組織委員会や祭りの支援を始め地域活性化に向けた事業展開を目的とする楽osanetにより、祭りの運営も新しい展開をみせつつある。長谷川氏が本書で語っている将来ビジョンの実現に向け、少しずつ動いているようだ。札幌では、既に来年のYOSAKOIソーラン祭りに向け動き出している。来年も今年以上に進化した祭りが披露されることだろう。

■株式会社yosaneto http://www.yosanet.com/

(2006.11.27/村井 亮治)