現在の位置:TOP>まちづくりを学ぼう>図書紹介>洋泉社MOOK「図書館へ行こう」 WWW を検索 スペーシアサイト を検索

 

洋泉社MOOK「図書館へ行こう」
洋泉社/2016年5月18日発行

 本書は、全国に6000以上もの図書館があると言われている中、人気の公共図書館から個人蔵書を開放した小さな図書館まで個性的な図書館を約90施設以上紹介している。映画「図書館戦争」に出演した女優・栗山千明さんが表紙を飾っており、雑誌感覚で読める資料となっている。
 図書館を題材として、建築美が光る公立図書館、地域住民に愛される公立図書館、あるいは大学図書館、専門図書館など幅広くおさえられている。また、商店街の図書館、駅の図書館、歯科医院の図書館などまちなかの小さな図書館まで扱っている。さらに、図書館と書店が並ぶ埼玉県桶川市のケースなど従来ではありえなかった事例も紹介している。単に本を借りる、調べるだけでなく、図書館を拠点に人と人が交流する、地域が元気になる、そんな事例がふんだんに紹介され、「図書館の仕組みと役割Q&A」「名物館長に訊け!」「図書館なんでも雑学10!」などのコーナーも充実している。個人的に感銘を受けたのは、本書では数少ない海外事例としてニューヨーク公共図書館が紹介されていて、その経営母体が自治体ではなく独立行政法人で、民間の寄付、イベントによる収益、多くのボランティアにより支えられているということだった。庶民のための図書館という設立当初からの理念を守りつつ、空間としては欧米各地でみられるような威厳ある空間なのだ。こんな図書館が日本にもあればぜひ頻繁に通いたいと思う。
 こうしてみると、47都道府県に必ず注目できる図書館がありそうで、自治体の個性を出せる施設の最たるものが公立図書館ではないかと感じさせる。これから各地に
出かけたら必ず図書館に立ち寄ることにしようか。

(2017.3.31/浅野 健)