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それでも自転車に乗り続ける7つの理由/疋田 智 著

朝日新聞社/2007年8月出版

 以前紹介した「自転車ツーキニスト」と同じ著者によって書かれたものである。「自転車ツーキニスト」では、自転車通勤を始めた経験をもとに、不景気をチャンスとして捉え、日本も自転車の使いやすいまち・自転車的な社会に変わってみてはどうかと提案している。

  本著は、自転車の車道通行を禁止する道路交通法改正騒動、自転車に関する誤解の多い俗論への回答(例えば、「自転車は結局、エコじゃない。」)など、やや堅い内容も含まれていて、ページ数も多く読み応えは比にならない。著者はこの本を「独断と偏見に満ちている」と述べているが、理論的に書かれており、日本の都市交通の中で自転車がいかに曖昧な存在で、かつ邪魔者扱いされてきたことがよく理解できる。道路交通法改正騒動の結果、自転車の車道通行が改めて原則とされ、さらに車道への自転車専用レーン設置が今後進むことになった。自転車は曖昧な存在から車道を走る権利を有する存在になり、その反面、自転車乗りは左側通行や夜間灯火などのルールやモラルを今まで以上に求められることになるのであろう。

  最後に、乗り続ける7つの理由として交通渋滞の緩和や健康、地球環境などがあげられている。そのひとつが、都市や住んでいる場所の再発見である。『自転車で都市を走るというのには「その街を訪れている」というより、「その街に住んでいる」というのをどこか疑似体験できるようなところがある』という1文は旅先で感じる心境にぴったりと合っていた。これからも自転車に乗り続け、まちの再発見をしていきたいと改めて思う。

(2007.12.10/山崎 崇)