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オランダモデル 制度疲労なき成熟社会/長坂寿久著

日本経済新聞社/2000.4

 現代日本について「成熟社会」と表現されるようになって久しいが、その一方で自分の身近な問題を考えた時に、子どもを狙った犯罪、高齢者の介護への不安などもあって、なかなか「成熟社会」の理想像が描けないのも事実である。
 そんな中で「制度疲労なき成熟社会」というタイトルに惹かれ、この本を購入した。
 オランダは強国に囲まれた小さな国で、国内は治水、国外では貿易で生き延びてきたという歴史があり、地域でも国外でも、早くから協議と合意形成のシステムを確立させてきた。
 このため、高齢者、移民、環境などの諸問題について、全てを法や制度で規制でするのではなく、協議を重ねて合意形成を図ってルールを確立するというのが「オランダモデル」の根本であるといえる。
 下記にこの著書で登場する8つのモデルを紹介する。この全ての方法をそのまま日本で適用することは難しいであろうが、日本もこのような理想像に向かって取り組んでいく必要があるのではないだろうか。

1 「パートタイム革命」
 パートタイムといっても日本とは違って正規雇用者
 実に女性雇用者の2/3以上、男性雇用者の17%と主要国と比較してもパートタイム比率が高い
 夫婦共働きで1.5人分の時間を働いて育児と仕事のバランスをとることも可能
2 「よいコンセンサス社会」
 協議と合意形成と統合の社会、異文化を対等に受け入れる社会
3 「高齢者が元気で過ごしやすい国」
4 「社会悪は根絶せず「制御」する」
 麻薬(ソフトドラッグ)購入の容認、アムステルダムの”飾り窓”、安楽死も認める
5 「NGOは政府のパートナー」
6 「環境対策は法規制より「紳士協定」で
7 「インフラ立国の高い競争力」
 空港(スキポール空港)港湾(ロッテルダム港、アムステルダム港)情報通信(多言語コールセンター)のネットワークの確立
8 「21世紀の世界システムモデル」
 地域内あるいは国境を越えた活動において、国家だけでなく企業、NGOも主役となって動く

(2005.12.6/浅野 健)