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「名古屋の喫茶店」/大竹 敏之 著
  リベラル社/2010年10月発行

 本の帯に「ナゴヤの喫茶文化をこの1冊に」と書かれている言葉通り、喫茶店ガイドブックである。コメダ・支留比亜・コンパルの3大喫茶チェーンから老舗喫茶店、自家焙煎の喫茶店など様々な種類の喫茶店が、店名の由来などの歴史や店主の想いなども含めて紹介されている。また、ナゴヤ人にとってはおなじみだが、全国的には珍しい鉄板スパ・小倉トースト・コーヒーぜんざいといった喫茶店メニューやモーニングサービスについても取り上げられている。「喫茶店王国」とも呼ばれるほど喫茶店の多いナゴヤにおいて、喫茶店は地元の人に愛されるだけでなく、ナゴヤを訪れる全国の人からも喫茶店メニューやモーニングサービスは注目され、名古屋メシの重要なひとつのカテゴリーになっているとのこと。確かに、関東在住の知人からは「コーヒー頼むとトーストとゆで卵がついてくるって本当?」と聞かれることもあれば、関東に引っ越した友人からは「最近家の近くにコメダができて嬉しい」という声を聞いたこともあるので、やはりナゴヤには喫茶文化が根付いているようだ。
  朝の時間帯にコーヒー1杯の値段で、トーストやゆで卵などのおまけがついてくるサービスであるため「モーニングサービス」が正式名称であるようだが、「モーニング」と省略するのが一般的で、特に注文しなくてもおまけがついてくる店も少なくないように思う。そんなモーニングに関して、この本では「モーニング発祥の地」としてまちづくりを進めている一宮市と、発祥地の説もある豊橋市が紹介されている。この本では一世帯あたりの年間喫茶店代が1位であるとしかとり上げられていない岐阜市もモーニングの激戦地である。一宮市、豊橋市、岐阜市にはおにぎりや味噌汁、茶碗蒸しなどという和食のモーニングも存在するそうだ。コーヒーにあうのかどうか個人的には疑問があるが、おもてなしの心としては素晴らしい。一読後、喫茶店に足を運びナゴヤの喫茶文化を体験していただきたいと思う。

(2011.3.14/山崎 崇)