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「町おこし」の経営学/三井物産業務部「ニューふぁーむ21」チーム編



東洋経済新報社/2000.3.18発行

 三井物産のニューふぁーむ21という町おこしコンサルティングのセクションが行ったプロジェクトが紹介されている。
 1つは岡山県赤坂町の赤坂天然ライス(第3セクター)。過疎化と高齢化が進む中山間地域に、炊飯加工工場を建設。地元米を100%使用し、地元の農家の主婦を雇用することで地元に貢献するとともに、工場建設前の倍以上の利益を上げて経済効果も高める。また、無名米をブランド米に変える、東京の赤坂との交流など多面的に取り組んでいる。
 2つ目は北海道由仁町のハーブのあるまちづくり。札幌から車で約1時間の小さな町で、プロジェクト総額40億円の日本一のハーブガーデン構想を掲げる。プロジェクトに先駆けてハーブの会を設立し、町民に啓蒙活動を続けることで会員数を増やしている。農家の主婦を中心に、会員それぞれがハーブを育て、直販もする。ハーブは一見、由仁町に全く関係ないものだが、ガーデニング=作物をつくる=農業との関連で、ガーデニングの好きな都市生活者とハーブを育てる農村とを結びつける。
 商社が全国的な情報網生かして街づくりに乗り込んでくることはまちづくりコンサルタントにとって驚異であるが、都市と農村を結びつけること、複数の省庁からの補助を得ること、長期的で壮大な計画を掲げつつ天下の三井物産が本気で乗り込んでいくことで地元の人をその気にさせてしまうこと、地元に人に必ず利益を上げさせて継続させることなど、そのノウハウは見習うべきものがある。

(2000.5.17/浅野 健)