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半農半Xという生き方 実践編/塩見直紀 著

ソニー・マガジンズ/2006.1

 半農(はんのう)半X(はんエックス)とは、聴きなれない言葉だが、著者が提唱するこの言葉の意味は次のようなことだ。

 農とは「農ある持続可能な小さな暮らし」、X(エックス)とは「天与の才を活かした仕事」、この二つをうまく両立させて生きる、つまり、自ら米や野菜などの主だった農作物を育て、安全な食材と自然からのインスピレーションを手に入れて、かつ、個性を活かした自営的な仕事に携わり、社会から「ありがとう」の声をかけてもらいながら、一定の生活費を得るバランスのとれた生き方ということ。Xは何でもよく、半農半アーティストでも、半農半NPOでも、半農半料理研究家でも人の数だけある。自分の好きなことでメシを食っていければいいのだ。農もなりわいとしての農業を指すのではなく、自給のための家庭菜園程度のものでもよい。著者は、このような農を暮らしの基本に据えた新しいライフスタイルを提案している。

 昨今、都心回帰現象ともいわれ、都会での生活を求める人たちがいる一方で、帰農、田舎暮らし、グリーンツーリズムなどのように不便だけれども農村やその自然に魅せられている人たちも多い。都会の若者の間でも、農ある暮らしへの関心が高まっている。農業をやってみたいけど今の仕事を捨ててまでするのはちょっととか、都会に住みつつも農を楽しみたいと、日ごろ何となしに思っている人には、こういう選択肢もあるのかと気づきにつながる一冊かもしれません。
(2006.2.3/櫻井 高志)