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 Cities for People人間の街 公共空間のデザイン/ヤン・ゲール著・北原理雄訳
 鹿島出版会/平成26年3月15日

  「住宅」は人が住む場所であるので、人間的スケールでつくられることに誰も疑問をもたないし、多くの人が当然のことと認識している。一方で「公共空間」はどうだろうか。人よりも車を優先した道路・歩行計画になっていたり、あまりにもスケール感が大きい構造物が目立っていたり、ベンチがあっても周囲の環境が悪く居心地が悪かったり。私はしばしそういった場面に遭遇し、そのたびにもっと人々に寄り添った公共空間にならないものかと思うし、どうしたら変わるのかとも考える。
 今回紹介する「Cities for People人間の街 公共空間のデザイン」は、人間のためのより良い街を実現するための基本的概念や手法が述べられている。都市空間のアクティビティは私たちの空間知覚に大きな影響を与え、都市の魅力としてアクティビティの重要性が謳われている。また、本書では人間のアクティビティを理解するために必要な「人間の感覚(五感)」や「人間のスケール感」などを詳細に解説していたり、「歩くのに適した街」や「時を過ごすのに適した街」を実際の街を例にとってわかりやすく示している。あわせて、メルボルン中心部でのアクティビティ調査やニューヨークブロードウェイでの歩道拡幅事例など世界各国での事例も紹介されており、公共空間のあり方を考える上で、非常に参考になる1冊である。都市での人間の生き生きとした活動=アクティビティの詳細な概念、考え方については、本書著者の別冊「建物のあいだのアクティビティ」をお勧めしたい。

(2015.6.24/喜田祥子)