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「赤レンガ近代建築 歴史を彩ったレンガに出会う旅」/佐藤啓子 著

青幻舎/2009年4月1日発行

 赤レンガ建築と聞いて何を思い浮かべるだろうか。北海道庁旧本庁舎、東京駅丸の内駅舎(2012年6月、保存・復元工事完了予定)、横浜赤レンガ倉庫、水路閣、大阪市中央公会堂、門司赤煉瓦プレイスなど答えは様々だと思う。この本には、重要文化財からいつ取り壊されるかわからない名も無きものまで、日本全国にある赤レンガ建築の一部が写真1枚と200〜300字程度の文章で紹介されている。紹介文が簡潔であるだけでなく、赤レンガ建築に対する著者の愛情が随所に感じられ、読んでいて心地よかった。例えば、赤レンガ建築が明治の近代化によって全国に広がったものの、関東大震災の発生や鉄筋コンクリートの台頭によって50年というわずかな期間に限られたことを「日本の 赤レンガの歴史はジェットコースターのようにドラマチックです。」と表現したり、富岡製紙場の紹介文の最後を「御年136歳。次なる仕事は、世界遺産登録を目指すことという。」と結んでいたりする。
  著者による紹介の他に、赤レンガ建築に造詣の深い4名によるコラムなども掲載されている。日本で統一された赤レンガのサイズは、製造工場で働く女性が片手で持ちやすい大きさを基準にしたという説もあることや、歴史の証人として認識するならば、いたずらに美化し観光化するのではなく、ありのままもしくは生産・生活的な目的に転用するべきという考えには感心した。赤レンガに会いに行きたいと思わせてくれる一冊であった。

 (2011.12.5/山崎 崇)


<関連ページ>
『横浜赤レンガ倉庫』
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2002/akarenga/index.htm

『近代建築物を高級フランス料理店として活用』  (2008年以降、結婚式場として活用)
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2003/kindai/index.htm