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47都道府県うんちく辞典/八幡 和郎 著

 タイトルにあるとおり、各都道府県のうんちくを書いてはいるが、知らなかった都道府県のルーツを簡潔だが明快に解いていたため、この著書にのめり込んでしまった。

 筆者は「近代日本が意図的に隠してきたタブーの数々」として、都道府県のルーツをといている。江戸時代の旧藩体制では領地の規模がまちまちで数も多かったので、中央集権的に行政を進めていくのに都合がよい数として、古代の律令時代の国をルーツとして数10くらいを目指して最終的に47となった。具体的には、都道府県庁の所在地はほとんどが城下町か天領の中心地に選ばれ、都道府県の名前はほとんどが都道府県庁所在地の都市かその所属する郡の名前から来たのである。

 東海3県でいえば、岐阜県の県庁所在地である岐阜市はかつて斉藤道三や織田信長の城下町からそのまま県名に使われ、愛知県の県庁所在地である城下町名古屋が愛知郡に属していたために県名に使われ、三重県は当初県庁所在地に選ばれた四日市が三重郡に属していたから命名されたのである。

 最後に「お国自慢」の構造の中で、「旧国名使用のすすめ」を書いている。当地域でも愛知県では尾張と三河、岐阜では美濃と飛騨では地域性が違うので、なるほどと思った項目である。行政運営上では、市町村、都道府県、あるいは道州制といった枠組みで考えた方がよいかもしれないが、生活レベルでは旧国名だったり昔の地域の呼び名の方がしっくり来る場合が多い。なかなか示唆に富んだ著書だったと思う。

(2006.3.31/浅野 健)