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日進市人にやさしい街づくり施設調査探検隊に参加して

1.動機

 「施設調査探検隊」は、本年度日進市が策定にかかる人にやさしい街づくり基本計画の現況調査において、市民の声を反映させようということで、人にやさしい人にやさしい街づくり委員、人にやさしい街づくり基本計画団体連絡会(障害者の方も含まれる)、中学生、市職員の合計64名が参加のもと、9月12日(土)に行われた。参加したきっかけは、本年度の愛知県人にやさしい街づくり講座でたまたま同じグループとなったSさん(当日はA−1グループ)が、日進市で人にやさしい街づくりの活動をなさっていたため、参加することができた。 

2.内容

(1)自己紹介・趣旨説明

 日進市役所に集合。参加者はあらかじめA・B・Cの3グループに分けられており、私はCのテーブルについた。グループごとに参加者自己紹介をした後、調査のポイントについてスライドを使っての全体説明があった。スライドにはSさんが車いすのモデルとして何度も登場し、参加者の雰囲気をなごませてくれた。

(2)出発

 市役所を出発。Aコースは日進駅、Bコースは香久山まで車で移動してから点検を行ったが、我々は市役所周辺なのでそのまま徒歩で点検した。グループの中でも記録係、車いす担当、視覚障害者担当、高齢者担当、出入口の幅員やスロープの角度の測定担当など役割分担がされ、私は視覚障害担当で視覚障害のAさんとその付き添いの方と一緒に回った。

 視覚障害の立場になると、市役所から郵便局までの誘導ブロックがない、市役所南側の幹線道路の歩道が未整備、歩道が未整備の場所に電柱が立っていて危険、駐車場と道路との境の側溝の蓋はコンクリート製よりグレージング(金属製で網目のある蓋)で網目の細かい蓋の方がよい、歩道の道路側にガードレールか植裁が欲しいなど、視覚障害者の立場でみると、公共施設が集積する地区でありながら、街には不備な点が多いことが確認できた。

 また、車いすや高齢者の立場では、農協など古い施設ではキャッシュコーナーの所に段差があって使えない、郵便局の駐車場に車いす対応のものがあるが、幅が狭くて車いすでの乗降が難しいなど、参加者から多くの問題点が指摘された。

(3)コースアウト

 当日は巡回コースがあらかじめ決められていたが、一緒に回っていたAさんから「巡回バスのバス停のところも見たい」との要望があり、時間も余裕があったこともあり、数名だけコースアウトして巡回バスの市役所前バス停から福祉センターまでの歩道もチェックした。ここも歩道が未整備で、「せっかく巡回バスを通しても歩道が整備されていなければ、潜在的利用者である高齢者や障害者の利用は増えるはずがない。少し整備するだけで高齢者や障害者は外に出ることができるのに。私は前から言っているんだ」というAさんの指摘があった。

(4)コメントの記入及びまとめ

 市役所に戻り、気がついた点や感想などを記入し、ボードに貼った。そのあと各グループのリーダーからのまとめが発表され、全体を総括して終了した。 

3.雑感−よくワークショップで行われる疑似体験についての疑問

 今回はワークショップでよく行われるアイマスク体験はなかったが、視覚障害であるAさんと一緒に回らせていただき、アイマスクはあくまで疑似体験でしかないことを知らされた。郵便局でのことを例にとると、我々健常者がアイマスクをしてチェックすると歩道から入口までの誘導ブロックがない、キャッシュコーナーまでの誘導ブロックがないと単純に考えてしまうが、Aさんにしてみれば「案内をしてくれる窓口まで誘導ブロックがあればいい。たまにしか来ない視覚障害者のために全部誘導ブロックを備えるのではなく、我々が自分で動くことのできる最小限のルートさえ確保してくれればいい」といった感じだ。疑似体験は障害者の気持ちにはなれるだろうが、街を客観的に評価する場合は、やはり当事者に参加してもらって意見を聞くべきだろう。

 最後に、日進市は市施行となって数年しか経っていないため、公共施設や道路などハード面ではまだまだ不十分な点は仕方がないと思われるが、ちょっとした工夫で人にやさしい街になる可能性はあると思う。参加された市民も多く、その方々の意識も高いのだから、大いに期待できる街だと感じた。

 (浅野 健)