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ミズベリング・ジャパン〜水辺活用の新たな動き〜

  去る3月、東京・渋谷ヒカリエで開催された「ミズベリング・ジャパン」という水辺を活かしたまちづくり、賑わいづくりに向けたシンポジウムに参加してきた。ミズベリング(MIZBERING)とは何か。これは2014年から国土交通省が中心となって始まった官民連携で新しい水辺の活用を創造していくためのプロジェクトである。規制緩和が進んだことで、公共空間である水辺でもカフェなどの営業活動のための占用が可能になるなど、活用の自由度が増した。そういった動きなどを受けて、全国の水辺活用の動きを牽引、支援している。
 今回参加したミズベリング・ジャパンは、行政のシンポジウムらしからぬバルーンと音楽によるおしゃれな演出が施され、軽やかな雰囲気の中、全国事例のペチャクチャ方式によるプレゼンとトークセッションが行われた。全国事例では、福岡、大阪、東京などの事例が当事者から語られた。福岡では川沿いの公園(水上公園)を民間からの事業提案をもとにガラス張りのおしゃれな休養施設へとリニューアルされる。世界でも有名なレストランなどがテナントに入り、7月オープン予定である。さらに目の前の那珂川では今はやりのSUP大会も企画中とのことで、水辺が新たなランドマークに変わろうとしている。大阪からは府市一体となって取り組む水都大阪、その中でも川の駅、リバークルーズ、北浜テラス、中之島GATE、水辺不動産などなど全国を一歩も二歩も先に行く様々な取り組みが紹介され、水辺を活かすことで街が大きく変わりつつあることが話からでも実感できた。東京では川床を備えたホテルを隅田川沿いに開業準備とのことで、行政との苦しい折衝を乗り越えてできる新しい形態のホテルだという。
  その他、全国に目を向けると、ミズベリング「東京会議」、「大阪会議」、「広島会議」など各地域版のミズベリングが立ち上がり、独自の水辺空間活用に向けた取組を模索している。2016年3月の時点で全国で41の取組が始動している。この東海地方では、岐阜県内の「飛騨高山会議」と「水都まちづくり楽校」(大垣)の2箇所で動いている。残念ながら愛知、三重ではまだ立ち上がっていないようだ。しかし名古屋では堀川、中川運河と水辺の民間活用など徐々に進められ、岡崎・乙川でも水辺開発計画が進行中である。公共空間としての水辺のオープン化はまだ始まったばかりであり、地域で温度差はあるものの、今までまちの裏側として閉ざされてきた空間だけに、可能性は非常に大きい。各地で取り組みが進み、水辺がまちの顔に変わっていくことを是非期待したい。

ミズベリング・ジャパン会場

ミズベリング全国展開
(2016.4.11/櫻井高志)