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しずおか町並みゼミin蒲原宿

  愛知登文会(愛知県内の登録文化財の所有者で組織)の講座の講師に招いたことがきっかけで3/8蒲原宿旧五十嵐邸において開催されたしずおか町並みゼミに参加した。
 第10回目を迎えたこのゼミ。全国町並みゼミは敷居が高いと身近なネットワークづくりをめざし10年前に同じ蒲原宿で開催。1回で終わらせるのはもったいないということから第2回の開催地に遠州横須賀が手をあげ、その後も手あげ方式で続いた。これまでの成果として各回の宣言内容が紹介されたが、宣言をだしてない回があったり、その内容も「だらだらやる」「がんばらないけど、あきらめない」などおよそ宣言らしくない宣言で、 そのようなゆるさが逆に10年間続いた理由かもしれないと感じた。
 静岡県から参加したのは11団体。最初の自己紹介で参加者の顔ぶれがわかる。静岡県立大、東京農大から学生の参加も。その後、「路地と蔵」「町家と防災」「地形と防災まちづくり」の3グループに分かれてまちを歩いた。
 蒲原宿を訪れるのは3度目であったが、地元の人の案内があるとやはりまちへの理解が深まる。一番の驚きは、江戸時代に大津波で宿場が流され、現在の場所に宿場を移転したということ。京都側から蒲原宿に入る手前で東海道は山側に大きく曲がっているが、津波以前の東海道はまっすぐすすみそこに宿場が形成されていた。東日本大震災で検討されている集団移転がすでに315年前に行われていたのだ。さらに、驚いたのは社寺がすべて山側にあること。宿場からまっすぐな参道があり、高台の社寺にすぐに至ることができる。万が一の場合の避難にも対応できるようなまちの造りになっているのだ。
 今回のゼミでは防災をテーマに東日本大震災の取り組みからの報告もあった。気仙沼市風待(かぜま)ち地区で5つの登録有形文化財が大きな被害を受けたのにもかかわらず修復に向けて動いているのは喜ばしいことであるが、一方でそんなに大きな被害を受けなかった歴史的建造物が「公費解体の嵐」という現象の中でどんどん壊されてしまったという。「登録」という行為が歯止めにつながるともいえ、その重要性を再認識した次第。
  終了後、旧五十嵐邸を考える会の会員の手作り料理で懇親会。多くのユニークな活動をされている方々と知り合うことができた。機会をみつけてじっくりと訪問してみたいと思う。

会場となった旧五十嵐邸

懇親会の風景
(2014.3.17/石田富男)