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雑木林(ざつぼくりん)を楽しむ会/福井県福井市

 雑木林は、福井大学と大学のすぐ隣を流れる川に挟まれた場所にある。また、すぐ近くに田原町商店街がある。元々は屋敷林であり長年放置されたことにより、自然豊かな緑の空間が形成されている場所であった。しかし、河川改修によって大きく形を変える可能性が浮上し、それを知った学生が「貴重な地域の林を少しでも活かし、地域の庭としたい」と2003年に『雑木林(ざつぼくりん)を楽しむ会(以下、雑楽会)』が発足した。(私は、雑楽会に所属しておらず2005〜2007年の3年間、他団体として関わっていた。)
 当初の雑木林は、長年放置されうっそうとしており、また、元は民有地であったこともあり(現在は大学と県の所有)、地域住民や学生が利用していいのか分からず、近寄り難い場所であった。そのため、会は、初動期は【地域住民や学生に関心をもってもらうこと、知ってもらうこと】を目的とし、草刈りなどの清掃活動を行ったり、老人会のピクニック会場として活用したり、映画上映会などを実施して、地域住民などへの周知を図っていった。次のステップでは【「地域の庭」としてのイメージを定着させる】ことを目的として活動し、イベントの定期的開催や清掃などを継続して行っていた。活動メンバーの減少により、停滞時期もあったが、今年度から新たな学生が加わり活動を活発化させている。そんな折、現雑楽会のメンバーから、当時の雑楽会の活動に関わっていた人から話を聞きたいと声をかけて頂き、同時期に雑楽会に関わっていた卒業生とともに福井を訪れた。
 当初は、これまでの活動経緯、活動内容や当時感じていたこと、これからの活動に何が必要かを教えてほしいという依頼であった。しかし、多くの学生がこの4月からの会に参加していたため、メンバーそれぞれが「なぜ会に参加しているのか」「雑楽会として何を伝えていきたいのか」「どういった活動をしていくべきなのか」を整理し、今後の会の活動イメージを共有することとし、私たち卒業生主導でワークショップを行うことにした。また、「雑木林の地図を描いてください」というテーマを投げかけ、それぞれが考える雑木林の地図を描いてもらった。学生の多くは雑木林の中の様子を詳細に描き、卒業生は、地域の中の一部として雑木林が描かれていた。新たな学生の認識として雑木林が地域の一部として面で捉えられるように意識が変化することで活動の意義が見えてくるのではないかと感じた。
 雑楽会の活動は今年で7年目を迎え、地域と良好な関係を築いており、地域・大学・学生のパイプ役を担ってきたことは評価すべきものである。今後も会の活動が継続することが重要になるが、活動に関わってきた大学OBOGが何らかの形で関わっていくことも重要であると感じた。まちづくり活動は、そこに住む地域住民がおり、継続した活動が求められる。そういった意味でも、今回のような形であれ、卒業したOBOGが活動や地域に関われる環境づくりは必要である。私も継続的に活動に関わっていきたい。

雑木林の風景
雑木林の風景(左側が大学)
雑木林の風景
雑木林の風景(住宅街が隣に)
雑木林の風景
雑木林の風景(ツリーハウス)
雑木林の風景
雑木林の風景

(2010.7.5 朝倉卓也)