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東北・仙台を拠点に協働によるまちづくりを目指すNPO
〜『まちづくり政策フォーラム』〜

 私は昨年まで東北は宮城に住んでいたのだが、その間に私自身がその事務局の一員として活動に関わっていたことのある“まちづくりNPO”を紹介したい。
 「特定非営利活動法人まちづくり政策フォーラム」(以下、まちフォ(略称))という。名称は少々堅いが、柔軟な組織をもち、幅広い角度から協働によるまちづくりの促進を目指しているNPOである。設立・法人認証は平成11年。まちづくりのフィールドは特に限定せず、仙台市を拠点に宮城県内、果ては東北の各地で政策提言・調査研究・体験活動などを精力的に展開している。
 主な活動としては、まちづくりに関わる研究会活動、計画・整備構想づくりなどにおける住民ワークショップの開催、各種イベント・シンポジウムの企画運営、まちづくり情報誌の発行などを行っている。中でも、私が関わっていた中で興味深く感じていた点は、その特徴的な研究会活動だ。
 研究会はテーマごとに組織されており、現在扱っているテーマだけでも、都市から農山村まで含めた空間利用を考え政策提言につなげるものや、水辺や里山の自然環境をベースに調査研究や体験活動を行うもの、遊休農地を市民農園として活用し都市住民と農村の交流を模索するもの、交通問題を扱うもの、地域ガバナンスを研究するもの、海外の農業支援に関するものなど多種多様である。また、研究会の規模は、数人のお茶飲みのような気軽なものから、数十人規模のしっかりと組織化されたものまで大小様々。関わり方も自由というのが原則となっており、誰もが気軽に足を踏み入れやすく、学識者、コンサルタントなどの専門家をはじめ、自治体職員や学生、主婦など様々な立場の人たちが参加し、草の根的なシンクタンクとして活動している。
 さらにまちフォでは、こういった研究会を通して形成された市民とのネットワークをまちづくりにうまく生かしている。例えば、行政から受託したまちづくり業務を運営していくときには、それぞれの研究会が得意分野を活かして専門的なアドバイスをしたり、研究会でつながった市民が実働部隊として業務をサポートしたりと、市民がいろいろな形でまちづくりに関われるようにコーディネートされている。このように市民一人ひとりとのつながりを大切にしていることもまたこのまちフォというNPOの魅力のひとつであろう。お陰で私もいろんな場面で参加の機会を与えてもらうことができた。
 幅広い研究活動と、市民とのネットワークを土台に、まちフォによる“協働のまちづくり”は今日も進行している。

 なお、もっと具体的な活動内容や詳しい情報を知りたい方は、まちフォのホームページ、または季刊誌「ひたかみ」、まちフォの代表理事が著した『市民協働のまちづくり 市民・行政のパートナーシップによる地域計画論』(山田晴義/2002/本の森)を参考にしてください。


 (2005.4.26/櫻井 高志)