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オーストラリア・シドニーを訪れて
 この6月23日から27日まで社員旅行でシドニーを訪れた。行程4泊5日、前後2日は移動日となり、間の3日間をシドニーのまちに滞在した。

 シドニーはオーストラリア大陸の南西の海沿いにあり、言わずと知れたオーストラリア最大の都市。経済の中心地として都心部は高層ビル群が立ち並ぶ近代的な都市であるとともに、イギリスの植民地として最初に開拓が行われた歴史発祥の地でもあり、新旧2つのまちなみが共存している。

  人口は約400万人。その割にシドニーの都心は意外と小さかった。歩いても端から端まで南北小1時間、東西数十分といったところではないだろうか。都心は入り組んだ湾内に突き出た岬のひとつにあり、その岬の上に高層ビルが所狭しと林立している。

 そんなシドニーの都心には、入植当時に立てられた英国風砂岩建築物が数多く残されている。イギリスの入植が始まったのが1700年代後半なので古くても200年くらいの古さだが、かなりの数にのぼっているのではないだろうか。それらも完全な観光用の見世物となっているものは少なく、まだ現役だったり、外観そのままに内装を変えてホテルやショッピングセンターへと再利用されていたりと歴史的ストックの活用が進んでいる。こういった歴史的建築がビル群の真ん中や外れにぽっとあったりして、日本と同じように高層ビルの谷底を息苦しく歩いていても、これらに出会うとほっとさせられた。こういった心理的なやすらぎをあたえることも歴史ある古い建物などを保全していく上での効果なのだろう。

  他にも、まちの景観にこだわった取り組みがあるという話を聞いた。築後100年を経過した建物は、民家であろうと原則取り壊しができず保全しなければならない、郊外の住宅地には高さ制限が設けられている、住宅の屋根の色を赤茶色に統一するために助成制度を設けていたなど。

 一方、郊外についてみると、これまた日本と比べると羨ましい環境にある。シドニーの郊外住宅地を飛行機から見たときの第一印象は、日本のように住宅地を整備する中で緑を申し訳程度に植えましたというのではなく、緑の中に家を建てさせてもらっているというほど、青々しており、森に沈むまちという感じを受けた。自然超大国だけあって、自然を大切にしていることが伝わってきた。

  都心の砂岩建築も郊外の緑もそして目の前に広がる湾の青も、スクラップ&ビルドを繰り返してきた日本の都市にはない、本物の美しさとやすらぎを与えてくれる。シドニー滞在は、そんなほっとできた貴重な時間だった。

(2005.7.5/櫻井 高志)